「なんでこれを見たの?」
「別に理由は無い。ただのフィーリング。というか、どんな映画か詳細は一切知らない」
「どこで見たの?」
「下高井戸シネマ。最近はレンタルで古い映画を見るか下高井戸シネマでやってる映画にばかり興味が行く」
「これはアニメ? 特撮?」
「おいらがアニメか特撮しか見ないと思っているオタクだと思っている連中は全員死ねばいいと思うよ」
「分かった分かった。これはどんな映画?」
- ドイツ映画である
- 新作のモノクロ映画である
- BGMはジャズがメインである
- ひたすら主人公はコーヒーが飲めない
- ひたすら主人公は金が無い
- ひたすら主人公が操作する機械はおかしい
- ひたすら主人公が関係する人間関係はおかしくなっていく
- 結局、コーヒーが飲めた時点で映画は必然的に終わる
「いいところが何もないじゃん」
「でもそこがいい」
「どこが良かった?」
「映像がね。時々ハッとするほど美しいのだ」
「モノクロだと?」
「そんなことは、この際どうでもいい」
「いいのかよ」
「こういう映画は良いね。いくらコーヒーを飲もうとしても飲めない。そんな主人公がやっとコーヒーを飲む。そして終わるべくして終わる。まさに飲んだら終わる。それでいい」